更新日:2021/01/18
【第5号メッセージ執筆者】佐藤 雅幸 氏(第8期生専修大学教授,同大学スポーツ研究所顧問)
「憧」れ
私の故郷山形県酒田市は、「本間様には及びもせぬが、せめてなりたやお殿様」と言われた、豪商「本間家」によって栄えた港街である。最上川、庄内平野の恩恵で豊富な農産物、日本海からは、沢山の海の幸が水揚げされることで知られている。しかし、酒田の冬は想像を絶する。寒の入りからは、雲は重たく垂れ下がり、日本海は鉛色と化し、荒れ狂うほどの大波となる。道路は凍りつき、呼吸もできないくらいの地吹雪となる。思い出すのは、小学生の頃の集団登校。最上級生が下級生を守るための「盾」となって登校するのである。凛とした6年生の姿がとても勇敢で頼もしく「憧れ」の存在であった。小学校時代、プロ野球選手になりたいと思っていた。テニスをするようになって、プロテニス選手に憧れた。振り返ると、どれひとつとして達成することはできなかったが、それ故、今の自分が存在している。大学院時代、自分の将来が見えずに、不安、恐れ、悩みで潰されそうだったことは何度もあった。しかし、それは全てが成長の糧となっている。仙台大学学生諸君、悩みながらでも、苦しみながらでも、弱音を吐きながらでも良い。今は、自分が憧れたものに向かって威風堂々と突き進んでいって欲しい。今後の活躍を心から期待している。
PROFILE◎佐藤雅幸 さとう・まさゆき/1956年、山形県生まれ。78年仙台大学体育学部卒業 82年日本体育大学大学院体育学科研究科修士課程修了。専修大学教授(スポーツ心理学)、同大学スポーツ研究所顧問。同大学女子テニス部の監督を務め、92年は全日本大学王座優勝を果たした。現在は同女子テニス部顧問。日本テニス学会 顧問、ヨネックススポーツ財団評議員、1994年には、長期在外研究員としてカロリンスカ研究所(Department of Neuroscience, Karolinska Institute,スウェーデン)に留学。 松岡修造氏が主宰する「修造チャレンジ」におけるメンタルサポートの責任者としても活動。
<著書・訳書>
<事務局から感謝を込めて>
誰しもが心に持つ故郷の姿,場所・時代は変われど自身を育ててくれた基盤はそこにある。青々とした日本海,どこまでも続く海岸線はあまりにも心地が良すぎる。水平線に沈む夕日はすべての心を静め癒す。格別な時間がゆっくりと過ぎて行く。だからこそ頑張れる。だからこそ前へ進むことが出来る。故郷の力の基盤には誰にも譲れない「憧れ」がある。人生の道標ともなりうる「憧れ」がある。
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