更新日:2022/09/21
【第152号メッセージ執筆者】 内田 三千則 氏(第12期生)
東京都あきる野市から全国の同窓生の皆様へ
「 誠 」
仙台大学ではラグビー部に所属した。一学年上に現仙台大学教授の小池和幸先輩が居られた。卒業して社会人となり、小池先輩とは同じ職場(青梅慶友病院)で10年を共にした。仙台大学出身の職員が複数名在籍し勤務する職場であったが、若き体育会系集団は時に若さ故の衝突もあった。そうした折に小池先輩は「いいか、体育人の最大の魅力は爽やかさだぞ。」と言って私を窘めた。「体育人は常に爽やかであるべし」と語る小池先輩の言葉が深く心に沁みた。
体育人の爽やかさとは如何なるものか…。スポーツマンシップという言葉がある。清く正しく美しく、正々堂々と戦うということであろう。小池先輩は不平不満を言ったり、人の悪口を言ったり、馬鹿にしたりしている様では、体育人として失格だと諭してくれたのである。
母校を思い、お世話になった先輩を思い、若かりし頃の己を顧み、私の心に浮かぶ漢字一字は「誠」である。偽りのない、真心を表す文字で、「言」と「成」から成り立つ。「物事を成す偽りのない言葉」という意味で、つまりは真心こそが誠ということである。体育人の爽やかさを端的に表す漢字一字として「誠」を選ばせて頂いた。「誠実」、「誠心誠意」、「至誠一貫」など、この文字の入る言葉は美学を伴う真っ直ぐな精神と行動を意味している。
幕末に滅びゆく幕府と運命を共にし、武士の義を貫いて花と散った新選組の旗印には「誠」の文字が染め抜かれていた。日本人同士の内戦となった戊辰戦争で、薩摩長州を中心とした討幕軍により、欧米列強諸国の近代兵器が大量に使われた。古来より降伏した相手には情けを掛けるのが武士道であったが、戊辰戦争では完膚なきまでに叩きのめし、殲滅せんと最後の最後まで殺戮の手を止めなかったのは何故なのか。仙台大学第一応援歌に「体育精神」という歌詞がある。戊辰戦争で地に堕ちた武士道と対峙し、「誠」の旗の下に真の武士道を貫き通したのが新選組なら、コロナ禍で多くの人々が様々な逆境に立たされている現代に於いて、「誠」を体現する体育精神で、あらゆる場面を牽引するのは我々体育人であろう。むしろそれは体育人の使命ではないだろうか。
全ての仙台大学卒業生に、「仙台大学であったからこそ培われたスピリットがある」と信じている。今こそ、その精神を行動に変えて開放する時である。それぞれが立つ、その場所で…。
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